わたしたち人間が他の動物と決定的に違う要素のひとつとして、言語があります。
その言語は約7万年前に認知革命が起こり、それから文字が生み出され書記体系へと発展して
きたと言われています。
現在に至っては様々な言語(情報)が溢れています。しかし、一つ一つを吟味している時間も余裕も
ない日常になっています。
言語の中には、文字で読む、音声で聴く、映像で見る、などの行為があります。認知革命以降の
わたしたちの脳の発達は著しく、それらの情報量を瞬時に判断できるはたらきがあります。
脳にインプットされる情報量の多さは、文字で読むよりも、音声で聴く場合の方が多く、文字で読むよりも
微妙なニュアンスやイントネーションが含まれてきます。しかし、音声で聴く場合よりも、映像で見る場合の
方が情報量は多く聴覚情報に加え、多様な視覚情報が加わってきます。結果、インプットレベルで見ると最も
情報量が多いのは、映像、次に音声、最も情報量が少ないのが文字になります。
では、最も情報量が少ない場合(文字で読む場合)、わたしたちはどのように対応しているのでしょうか。足らない部分を補わないと
いけないので考える必要があります。いわゆる想像力です。文字を読む行為、例えば読書が想像力を鍛えることになります。
しかしながら、最近の学生生活実態調査では、学生の53.1%が1日の読書時間を「ゼロ分」と回答しています。
脳が映像主流のインプットになっているので、文字を読んで想像力をはたらかせることが困難になっているのではないでしょうか。
一方、脳からアウトプットされる場合は、インプットとは反対に情報量が多い方がより想像力をはたらかせることになります。
なぜなら、メールより電話よりも直接会って他者とコミュニケーションを図る場合、瞬時に様々な言語から適切な言語を選択し、
また相手への伝わり方、表情などを加味しながら想像力をはたらかせないといけないからです。
つまり、限られた情報量の入力と豊富な情報量を出力することで、想像力が養われ、予測を立てることができるのです。