新しいことを学ぶ時には、まず全体像を把握することが大切です。
全体像が頭に入っていないと細かい部分から全体を想像するのは難しくなります。
例えば、車で行ったことのない遠方へ向かう際、カーナビで目的地を設定すると、まずは広域な地図で
表示され、目的地に近づけば詳細な地図が表示されます。いきなり目的地の詳細な地図が表示されても
行ったことのない場所では理解できません。
わたしたちは、部分を積み重ねていったものを全体構造とは認識していないのです。
ある人の顔を認識するときは、全体を捉えてその人の顔として認識しています。
もし、部分を積み重ねて全体を認識しているのであれば、少しでも髪が伸びたり、短くなれば、違う人と認識しないと
いけなくなります。
こうした全体のまとまりを心理学用語ではゲシュタルトと呼ばれています。
全体像が把握できることによって各々の部分の理解度が増し、様々な全体像をいくつも重ねていくことで物事を俯瞰できる
ようになります。
ゲシュタルト(全体のまとまり)が一旦できあがると、もし必要な部分が足らなくてもこれまでの知識や経験で補うことができる
のです。その理由は全体と部分は双方向性の関係を持っているからです。
わたしたちが普段から使っている言語も一つ一つの言葉が集まって全体の意味を構成しているわけではなく、全体の意味が
決まって初めて一つ一つの意味が決まります。
したがって、ゲシュタルトがない状態で部分だけを突き詰めていくとあるべき姿や物事の目的を見失ってしまします。
新しいことを学ぶ時や何かの計画をたてたり、または人に伝えるときや教えたりする時は、まずは何よりゲシュタルトの把握を
優先すべきなのです。